昔、好きだった相手は、犬好きだった。
レトリバー系の大きい犬も怖がらずに、近付いていって頭をなでるくらい平気な人だった。
あたしは、猫が好きだ。
犬も嫌いじゃないけど、「猫派? 犬派?」って言われると、迷わず、
「猫!ヽ(・∀・)ノ」
と答える。
野良猫を見るとついつい追っかけたり。
実家に帰ると、まず、猫の様子を見にいったり。
カメラのフィルムを現像したら、全部猫の写真だったり。
・・・そんな人間ですよ、あたしは。
フェルトで猫のマスコットを作ったりもするくらいだ。
でも、というか、だから、
あたしは、猫を飼う事ができない。
飼えない。
飼いたい、と思ったことは何度もあるが、飼えない。
それは、「怖い」からだ。
飼っている猫が病気になったら・・・
外に出て、事故にあったら・・・
先に死なれてしまったら・・・
想像するだけで、耐えられなくなる。
それ以上に、「怖い」事がある。あたしの「所有欲」の強さだ。
あたしは、欲しいもの、好きなものが手の届くところにないと、嫌なのだ。
それが「自分の所有物」であるなら、なおさら、
「あたしのモノを、自分の手元において、何がいけない」
という気持ちになる。
だから、
「好きだから、手元においておきたくなる。手放せなくなる」
という心理は、痛いほど良くわかる。
でも、それを、生きているものにやってはいけない。
彼らは生きているのだ。自分達の生き方があるのだ。彼らは「モノ」ではないのだから。
(だから、主従関係ではなく、対等に付き合うべきなのだ)
しかし、猫(に限らず、だが)を飼ってしまうと、あたしは、彼らを、「モノ」のように扱ってしまうのではないか。
自分の「所有物」のように扱ってしまうのではないか。
・・・そんな想いがある。
そんな飼い主を、猫は喜ぶだろうか。
だから、飼わない。飼っちゃいけないと思ってる。
あたしが猫を飼った時、それは、今のあたしより、心が大人になったときなんだろうなぁ、と思う。